てんかんは「てんかん発作」が起こる病気であることから、発作症状の確認が基本です。てんかん発作の繰り返しは、問診と脳波などにより確認します。また、てんかん以外の病気による発作を除外することも重要です。
どの検査を必要とするかは主治医の判断によります。ここでは、てんかんの診断に関わる全ての検査について解説します。

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てんかん診断の手順

発作があったら

拡大できます てんかん診断の手順

出典:てんかん診療ガイドライン2018

関連情報

1)問診

患者さんに発作の状況などを質問する問診が重要です。
「どんな時に発作が起こるか」「どんな症状が現れたか」など、発作時の状況を、主治医ができるだけ正確に知ることが診断の助けになります。また多くの場合、患者さん自身に発作の記憶や意識がないことも多いので、周囲の人から得られる情報も重要です。発作時の状況を詳しくメモしたり、発作の様子を携帯電話などで録画しておくことも役立ちます。

その他に、これまでの大きな病気の有無、頭のケガや心臓の病気の有無、血圧などの身体的状態、これまでに発作を起こしたことがあるか、子供の時に熱性けいれんのようなことがあったか、などが質問されます。
また、発作のきっかけになる行動、例えば、寝不足、疲労、飲酒、月経、発熱、薬の飲み忘れ、なども日頃から観察・記録しておくと診断に役立ちます。

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問診を受ける患者

2)脳波検査

てんかんの検査の中で最も重要なのは脳波検査です。脳波は脳の神経細胞が出すわずかな電流で、それを記録することで脳の異常を診断します。正常時の脳波は小さなさざ波のような波が記録されますが、発作時にはいくつかの神経細胞が同時に電気を出すために大きな電流が流れ、とげのようにとがった波(棘波:きょくは)や、やや幅の広い大きなとがった波(鋭波:えいは)などが現れます。

このようなてんかん発作に関係する波を「発作波」と呼びます。脳波は形だけでなく、その出方によって電流の出ている脳の部位がある程度わかり、発作型の判断の参考になります。但し、脳はいつも同じ状態ではないため、一度の検査で異常がない場合でも繰り返し記録したり、発作時の記録をとることが必要な場合もあります。

脳波検査では確認しにくいケース

  • 発作を起こす箇所が脳の深層にある場合
  • 発作波の出る頻度が非常に低い場合
拡大できます 脳波検査

3)長時間記録ビデオ脳波モニター検査

注意しないと見過ごされる発作や、思いもよらない症状がてんかん発作である場合もあります。
その場合は、発作状況のビデオ撮影と脳波検査を同時に行う「長時間記録ビデオ脳波モニター検査」を行います。専門病院でなければできない検査なので、てんかん専門医の受診が勧められます。

この検査では、脳のどの部分から発作が始まり、どのように拡がっていくかも確認できるため、手術に必要な情報を得るためにも行われます。
検査は、夜間を通して行うために入院する必要があります。脳波を連続記録しながら発作が起こるのを待ちますが、寝たままではなく自由に動くことができるので、患者さん本人の負担は少なくて済みます。

拡大できます 長時間記録ビデオ脳波モニター検査

4)画像診断

画像診断は大脳の中がどのような状態になっているかについて調べる検査です。てんかんの原因や、てんかん以外でけいれんが起こっている可能性を確認するために行われます。

・X線CT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)

X線を利用して、水平方向に輪切りにした体内の様子を画像化する検査です。比較的簡単に検査でき、得られる情報も多いことからよく用いられます。この検査によって脳の中に腫瘍や外傷、血管の異常による傷があるかどうかを確認します。特に、カルシウムが沈着した石灰化部分をみつけるためには適切な検査です。

X線CT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)

静岡てんかん・神経医療センター

・MRI(magnetic resonance imaging:磁気共鳴画像法)

磁場と電波によって、体内の様子を画像化します。放射線の危険性はありません。画像は、X線CTとよく似ていますが、X線CTではとらえにくい部分を見ることもできます。
脳のMRIによって微細な脳の異常をとらえることができるため、てんかんが起こる焦点(てんかんの電気的な興奮が起こる場所)がどの部分にあり、そこがどのような状態になっているのか、などについて調べることができます。
患部に腫瘍が見つかり、切除することでてんかんが治ることもあります。

MRI(magnetic resonance imaging:磁気共鳴画像法)

静岡てんかん・神経医療センター

・SPECT(single photon emission computed tomography:単一光子放射断層撮影)

放射性医薬品を体内に投与して、脳・心臓・がんなどの情報を得る検査です。SPECTでは、X線CTやMRIとは異なり、画像だけではなく、血流量などの脳の働きを見ることができます。どこの細胞が発作によって影響を受けているかなどの情報を得ることもできます。
一般的にてんかんが起こる焦点では、発作と次の発作の間の血液の流れや糖・酸素の消費量が低下し、発作が起こっている時には血液の流れや糖・酸素の消費量が上昇するといわれています。これを画像化するのがこのSPECTやPET検査です。発作時における血液の流れの高い部分をみつける手段としてSPECTが優れているという意見もあります。

SPECT(single photon emission computed tomography:単一光子放射断層撮影)

静岡てんかん・神経医療センター

・PET(positron emission tomography:ポジトロン断層法)

ポジトロン核種(陽電子を放出する元素)を体内に投与して、脳のエネルギーとなる糖や酸素にマーク(標識)を付けることで、脳における糖や酸素の消費量を調べることができ、脳がどの程度機能しているかがわかる検査です。SPECTよりも鮮明に脳の働きを知ることができます。PETはMRIで見つけることのできなかったてんかんが起こる焦点を見つけることができるとされています。

PET(positron emission tomography:ポジトロン断層法)

5)その他の検査

・心理検査

患者さんをよりよく知るために、患者さんの性格や知能を検査します。小さな子供の発達を調べることもあります。

心理検査の種類:性格検査、知能検査、発達検査 等

・臨床検査

尿検査や血液検査を行い、てんかんの特徴が現れていないかを調べます。また、薬で治療している場合には、薬の血中濃度を測定して、薬の効果や副作用を調べるために、定期的に血液検査を行います。

・その他の検査

脳から発生する磁界を測定する脳磁図や、脳や神経の異常を検査する髄液検査などを行うこともあります。

関連情報

高齢者に対するてんかんの診断も他の年代と同じように、問診、脳波検査、画像診断などにより決定します。

高齢者てんかんの多くは部分てんかんで、脳血管障害や脳腫瘍など大脳に何らかの障害によって起こるてんかんが多いとされています。また、認知症でもてんかんを併発します。

しかし、失神や、一時的に脳の血管が詰まる一過性脳虚血発作など症状からでは、他の疾患との見分けが難しいとされています。

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高齢者のてんかんの特徴は?
高齢者

1)意識障害を伴う複雑部分発作が多い

高齢者てんかんは部分発作の中でも意識障害を伴う複雑部分発作が多く、けいれんがみられないため、てんかんの診断が遅れることが少なくありません。発作の症状は短時間で目立たず、また人によって様々な症状が現れ、さらに意識障害、失語、麻痺などもみられます。また発作後にもうろう状態が長く続くこともあります。

2)認知症などと間違えられやすい

高齢者てんかんの特徴は、けいれん症状がなく意識障害を起こす複雑部分発作が多いため、認知症などと誤診されることがあります。

3)てんかん重積状態を起こすことが多い

高齢者になって最初にてんかん発作を起こす時は、約30%がてんかん重積状態を経験するといわれています。その多くが複雑部分発作重積状態で、けいれんを起こさないためにてんかんと判断できないことがあります。

4)通常の脳波検査でてんかん波をみつけにくい

高齢者てんかんでは、脳波によっててんかん波をみつけることができる割合が30~70%と決して高くありません。そのため、繰り返して脳波検査をすることが必要になる場合があります。また、脳波異常は睡眠時にのみ見られる場合が多いので、睡眠脳波チェックが必要になります。場合によっては、長時間持続ビデオ脳波モニター検査をすることもあります。

5)高齢者てんかんでは画像診断が必要

高齢者の初めてのてんかん発作の場合は、脳の画像検査を行う必要があります。通常、てんかんの原因を診断するためにはMRI検査が最も適切な検査とされています。

6)高齢者のてんかんの治療

高齢者てんかんの治療も抗てんかん薬が中心で、一般的なてんかん治療と同じですが、高齢者てんかんは抗てんかん薬による治療効果が高く、少ない量でも効果があることが知られています。また、抗てんかん薬による治療を長期間続けても、治療効果が落ちることは少ないとされています。

一方、高齢者は副作用を起こす可能性が高いため、抗てんかん薬を飲み始める場合には少ない量から徐々に増やしていくことが非常に大切です。また、抗てんかん薬を選ぶときには、てんかん発作の種類だけでなく、合併する病気やその病気のために飲んでいる薬との兼ね合いを考慮して、副作用が少なく、併用薬と相性の良い抗てんかん薬を選ぶことも重要です。

高齢者夫婦

・高齢者は初回発作後の再発率が高い

一般的に、最初の発作から抗てんかん薬を飲み始めることはしないとされていますが、高齢者の場合再発率が高いため、脳波でてんかん波がみられたり、原因と考えられる脳の病変が見つかった場合には、最初の発作後から治療を始めることがあります。

・併用薬との飲み合わせに注意

高齢者のてんかん患者さんは脳卒中が多いことや、その他の病気を合併して薬を飲んでいることが多いため、抗てんかん薬との飲み合わせに注意する必要があります。

・腎機能障害や肝機能障害に注意

腎機能障害や肝機能障害を合併する高齢者では、抗てんかん薬によって効果が強く出ることもあり注意が必要です。また、高齢者のてんかん患者さんに抗てんかん薬を選ぶ際には、内科の病気がない患者さんと内科の病気を合併している患者さんとでは別々に薬を選ぶように勧められています。

関連情報

けいれんはてんかん以外にも起こる症状で、他の病気と間違えられやすいことも多いため、小児てんかんに関する問診では、発作に関すること以外に、出生時のことやそれまでのケガ、ひきつけ(熱性けいれん)を起こしたことがあるか、発達は正常であったか、などについても質問されます。

そのため、母子手帳を用意しておくと便利です。また、学校の成績を尋ねられることもあります。また、携帯電話の動画機能を使って発作の様子を撮影しておくと、状況を正確に伝えることができるので診断の役に立ちます。

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乳児

小児てんかんの問診の内容

出生時に関する問診生まれた時の体重、満期産だったかどうか、生まれた時すぐ泣いたか、その他の出生時の様子
これまでの様子発達の様子(首の座り、寝返りの時期、ハイハイや歩き始め、言葉のしゃべり始めの時期など)、大きな病気の有無、特に頭を打ったり、脳炎や代謝性の病気、高熱時のひきつけ(熱性けいれん)の有無、など

1)発作時の様子を詳しく説明することが大切

発作が起こった時は慌ててしまうと思いますが、次のようなことを詳しく観察し説明できると診断に役立ちます。

発作時の確認事項

発作の始まり方
  • 発作は突然あらわれたのか?また、けいれんは全身にあらわれたのか、あるいはからだの一部(片手、顔など)なのか?、などの発作のあらわれ方。
  • 行動の停止、ぼんやりした顔つき、急に言葉がとぎれる、急に動作が止まる、など発作の始まり方。
発作の様子
  • 手足を硬くして、つっぱり(強直性)、そしてガクガクする(間代性)、強く倒れる、くずれるようにしゃがみ込む、口モグモグさせる、手足を意味もなく動かすなどまとまりのない動作をする、だだボーッとしている、などどんな症状が続いて起こるか。
  • けいれんや強直の場合に左右差がなかったかどうか。
発作の終わり方
  • けいれんがおさまると眠ってしまう、激しい呼吸をして口から唾液を出すこともありその後多くの場合は眠ってしまう、ぼんやりしてキョロキョロしたり、落ち着きなく動き回る、すぐに元に戻ってそれまでしていた動作を続ける、など発作が終わる時の状態。
発作後の様子
  • 頭が痛い、口の中や舌を噛んでいた、尿をもらしていた、手や足をすりむいた跡があった、からだに打ち身があった、筋肉が痛かった、など発作後の様子。
起こりやすさとの関係
(誘発因子や助長因子)
  • 発作前の体調や発作が起こることに関係すると思われること。(発熱、寝不足、生理など)
発作の起こる時間帯と頻度
  • 何時頃、何をしている時に発作が起こるか、寝ている時か、などの様子と頻度。

2)脳波におけるてんかん波の確認

子供の脳は未熟なため、脳波は成人の脳波と違います。赤ちゃんの時は脳の中の神経と神経のつながりが十分でなく、脳波も遅いゆっくりとした波が主体です。その後、年齢とともに発達し、波も早く規則正しくなります。
一般に、1回の脳波検査では診断がつかないことが多く、初回の検査ではてんかん患者さんの半数に正常脳波がみられるといわれています。さらに乳幼児では、脳波が不安定なこともあって、てんかん波をとらえにくいとされ、成長とともに繰り返し脳波を記録することが必要です。

また、小児では起きている時に脳波異常がみられない場合、寝ている時に脳波検査を行うとてんかん波をみつけられることが多いとされています。その他に長時間持続ビデオ脳波モニター検査になることもあります。
なお、てんかん性の脳波異常があっても発作がない小児は、全体の5%程度とされています。

3)小児てんかんの治療

小児てんかんも基本的には抗てんかん薬による治療が基本です。使用される抗てんかん薬も発作型である程度決まっていますが、小児の欠神発作にはバルプロ酸あるいはエトサクシミドが使われます。

一般に小児は体内で薬が分解され排泄される速度が早く、成人よりも多めの量が必要とされます。また、成長に伴って身長や体重が増えていくため、体重や血中濃度を定期的に測定しながら、薬の量を調節する必要があります。
小児の治療に使われる薬には、同じ成分でも、錠剤、散剤、シロップ剤、ドライシロップ剤など、異なる剤形が用意されていることがあり、子供でも飲みやすい薬の形を選ぶことができます。

また、風邪薬などと一緒に飲むと血中濃度が変化する場合もあり、血中濃度が上がると副作用が出やすく、血中濃度が下がると発作が起こりやすくなる可能性があり、他の薬を飲む時には医師等に相談することが大切です。

関連ページ服用時の注意点

・副作用への対処

抗てんかん薬を服用している間は、副作用に注意を配ることが大切です。副作用を避ける意味でも血液検査などの一般検査や血中濃度測定を定期的に受けることが必要です。

小児てんかんにおける抗てんかん薬の主な副作用

治療開始後2~3週間でみられるもの発疹などの過敏症
長期間飲んでいるとみられるもの葉酸や骨のミネラル代謝の障害
薬に特有なものフェニトインによる歯肉肥厚、バルプロ酸による肝障害、膵炎など

・抗てんかん薬をやめられるてんかんと続けるてんかん

てんかんになりやすい性質があり、子供の頃に発作が始まる特発性の強直間代発作や欠神発作、小児の後頭部や中心・側頭部に発作波をもつ良性てんかんなどでは、ある年齢(思春期頃)になると発作がなくなり抗てんかん薬をやめることができるようになります。しかし、症候性の部分てんかん(側頭葉てんかん、前頭葉てんかんなど)では発作が止まりにくいことが多く、一般に長期にわたって抗てんかん薬を続けることが多いようです。

・抗てんかん薬をやめる目安

発作が3年以上現れず、脳波検査で2年以上てんかん波が出てこない場合に、抗てんかん薬の中止を検討します。但し、てんかんの種類で目安となる年数は異なり、良性のてんかん(中心・側頭部に棘波を持つ良性小児てんかん、良性後頭葉てんかんのPanayiotopoulos型、乳児良性部分てんかん、乳児良性ミオクロニーてんかん)は発作のない時期が2年間で中止を考慮しますが、ウエスト症候群やレノックス・ガストー症候群などは慎重に検討する必要があるとされています。抗てんかん薬を中止するときは、量を徐々に減らしていきますが、その途中で再び発作が起きたり脳波の異常がみられた場合には、再度抗てんかん薬を増量して様子を見ることになります。

・抗てんかん薬中止後の再発

抗てんかん薬を中止した後に再び発作が起こる可能性は、中止してから3年以内が多いとされています。そのため、抗てんかん薬を中止した後も定期的に脳波検査で発作性の異常波が出ないか調べることが大切です。

女性に対するてんかんの診断も他と同じように、問診、脳波検査、画像診断などにより決定します。

なお、女性特有のてんかんとしては、月経期間中にだけ発作が起こる「月経てんかん」などがあり、女性のてんかん患者さんの5%程度といわれています。

女性のてんかんの治療

女性のてんかんの治療も抗てんかん薬が中心で、一般的なてんかん治療と同じです。
但し女性の場合は、月経・避妊・妊娠・出産など、服用する抗てんかん薬の内容によっては様々な影響があり、注意することや、副作用によって薬の見直しが必要なことや、妊娠中の発作を抑える工夫が必要なことがあります。また、パートナーになる方の理解や協力も必要ですので、何かあれば、迷わず主治医に相談しましょう。

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